たま企画室 – 香川・高松

白とサビ、それぞれの美しさを刻んで|犬島石の五輪塔、二基のご紹介


犬島石 さび 白 五輪塔 叩き 安寧

こんにちは、たま企画室です。
今日は、石材店様よりご注文をいただき制作した犬島石の五輪塔が完成しましたので、ご報告を兼ねて少しご紹介させていただきます。

写真をご覧いただくと、いつもの犬島石サビでお作りした五輪塔と並んで、白っぽい色味の小さな五輪塔が写っています。
実はこの白系の五輪塔も、同じ犬島石を使用しています。以前のブログ記事『犬島石のこと』でも少しご紹介しましたが、こうして写真でご覧いただくのは今回が初めてです。
ちなみに、こうした白系の犬島石を使った五輪塔は、私たちとしても制作の機会があまり多くありません。というのも——単純に、サビの犬島石が大好きだからなんです。
あの独特の風合いや深みのある色合いには、何とも言えない味わいがあり、つい「こちらのほうが良いですよ」とおすすめしてしまう傾向があるのです(笑)。
とはいえ、今回あらためて白系の犬島石を見てみると、サビとはまた違った清らかさとやさしさがあり、全体として明るい雰囲気をまとっているのが印象的です。
サイズや形状にかかわらず、この石ならではの魅力がしっかりと感じられます。
同じ「犬島石」という名前でも、採れる場所や石そのものの成り立ちによって、こうした違いが生まれる——自然石ならではの奥深さを、今回もあらためて感じさせられました。

犬島石 さび 白 五輪塔 叩き 安寧

また、今回の2基の五輪塔には、切石の基壇と、その上に据えた繰形座が設けられています。
いずれも塔をしっかりと支えつつ、全体の佇まいに重厚さと整然とした印象を与える、大切な構成要素です。
このように、五輪塔本体だけでなく、それを据えるための“場”にも丁寧な工夫を施すことで、より荘厳で調和のとれた空間に仕上げることができます。

そして最後になりますが、写真をご覧になって、
「この白系の五輪塔の寸法って、どれくらいなんだろう?」と気になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は、基壇から五輪塔の頂上までの高さは66cmほどと、かなりコンパクトなサイズです。 私たちがこれまで制作した部材構成の五輪塔のなかでも、最も小さなもので、ここまでの縮尺で各部を作り込むのは、やはりなかなかに難しい作業です。
もちろん、これよりさらに小さい五輪塔を「作れない」わけではありません。
ただ、構造上の制約が増え、石の加工や接合の自由度も下がるため、「作りにくい」と感じることが多くなってしまいます。
職人として無理なく、気持ちよく仕上げられないものは、完成後の佇まいにも微妙な違和感が出てしまうことがあります。
そういった意味でも、これ以上小さなサイズをご希望の場合は、部材を分けずに一石で彫り出す「一石五輪塔」という選択肢になります。 小さな五輪塔には、小さいながらも工夫と技術が詰まっています。
そのぶん、サイズ以上に存在感を放つ、そんな一基になったのではないかと思っています。

今後も、素材の表情を活かしたご提案を通して、皆さまの想いに寄り添えるような石づくりを続けてまいります。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ご質問やご意見などございましたら、お気軽にコメントやお問い合わせをいただければ幸いです。
今後とも、たま企画室をどうぞよろしくお願いいたします。

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