たま企画室 – 香川・高松

図面だけでは伝わらないこと|現地で感じたお墓づくりのヒント


ストゥーパ インド サンチー

こんにちは、たま企画室です。
今回は、新たにお墓を建てたいとご希望のお客様と、実際に墓地をご一緒に見て回った際のお話をご紹介したいと思います。

もちろん段階を踏まえてということで、まずはご家族の構成やご宗派など、そしてなによりお客様のご希望を確認、それらをもとに、たたき台のご提案図とお見積もりをお渡ししました。
そうしたやりとりを重ねながら選択肢を整理し、「どのようなお墓を建てるか」という具体的な方向性を検討する段階へと進んでいきました。

すでに墓地はお決まりだったため、今回はその墓地の中で実際に建立されている周辺のお墓の形や大きさ、使われている石の種類や仕上げ方法などを一緒に見て歩きました。
現地で実物を見ながら話をすることで、図面や写真だけでは伝わりにくい感覚的な部分——たとえば全体のバランス感や高さの印象、周囲との距離感や空間の広がりなどが、ぐっとイメージしやすくなります。
「この石の色味は、落ち着いていていいですね」
「お隣のお墓の大きさやそことの距離を参考にすると、このくらいの高さがちょうどよさそうですね」
そんなふうに、ひとつひとつ確認しながら、お客様ご自身の“理想のお墓像”が少しずつ形を帯びていくのを感じました。

その中で、私から「ぜひ一度見ていただきたい」とご紹介したのが、別の墓地に建立されている叩き仕上げの石塔。
風合いがあり、時間が経つごとに味わいが増していく——私としては、その墓地の穏やかな環境にもよく馴染むように感じられ、きっと気に入っていただけるのではと思っていました。
ところが、お客様から返ってきた言葉は、
「高橋さんのお薦めなんですね、でも……ちょっと私は“ない”です」
と、きっぱり。
少し寂しいような気持ちもありましたが(笑)、でも、これでまた一歩、方向性が明確になったとも言えます。
「何が合わないか」が見えると、逆に「何がしっくりくるか」が見えてくるものです。
選択肢がひとつ減るということは、理想に近づくための前進でもあるのだと思います。
※ちなみに私は、個人的に叩き仕上げの石が大好きで、特に犬島石などとの相性は抜群だと(勝手に)思っているのですが……今回はそっと胸にしまっておきました。

さらにその途中で、お客様から中国材についてのご質問もありました。
ご自身でもいろいろと調べておられたようで、「中国の石はダメなんですか?」と率直なご質問。
私は、中国製品が悪いということではまったくないという点をまずお伝えし、そのうえで、同じ図面・同じ仕様であっても、どうしても国内加工のほうが細部の仕上がりや精度においては上回ることが多いという実情を丁寧にご説明しました。
あくまでも「中国産の石に罪があるわけではない」ということ。
その石が、どこで・どのように加工されるかによって、仕上がりの品質や雰囲気は大きく変わってきます。
お客様もその説明に納得してくださり、「なるほど、そういうことなんですね」と安心されたご様子でした。

お墓づくりは、正解のない世界です。だからこそ、お客様にとって納得のいく「ひとつのかたち」をご一緒に見つけていけたら——そんな想いを改めて感じた一日でした。
まだまだスタートしたばかりです。これからじっくり、お客様とともに歩みながら、ご家族の想いを受けとめ、これからの世代にも静かに語りかけてくれるような、そんなお墓を目指していきたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
質問やご意見がございましたら、お気軽にコメントやお問い合わせをいただければ幸いです。
今後とも、たま企画室をどうぞよろしくお願いいたします。

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