たま企画室 – 香川・高松

石に教わること——私のお墓づくりと中世の石造物


一宮寺 四国第八十三番札所 石造美術

こんにちは、たま企画室です。
どうでも良い話ですが、ついに今回でブログを書いて50回目となります。
それでも、ちょっとした達成感のようなものを感じて、こうしてまたキーボードに向かっています。
そして今回は、そんな50回目のタイミングにふさわしいかどうかはさておき——
最近あった出来事について、少し綴ってみようと思います。

つい先日、打ち合わせの帰りに立ち寄った一宮寺(四国第八十三番札所)でのこと。
いつものようにご本尊様にお参りをしたあと、石造物を拝観させていただいていたのですが、何度も見ていたはずなのに、自分でも驚くような見落としがあったことに気づきました。
今回は、そんなちょっとした「気づき」についてのお話です。

一宮寺さんには中世の石造物がいくつかあり、『日本石造物辞典』(吉川弘文館2012.11)では「一宮寺石塔群」として紹介されています。
その中に、「一宮御陵」と呼ばれる三基並んだ石塔があり、そのうちの左側の寄せ集め塔の最上部にある屋根の下に、なんと垂木が作り出されていることに気づきました。
本当に何度も拝観しているだけに、これはちょっとびっくりというかショックです。
「しっかり見落とさずにチェックしなければ」と心に誓った瞬間でした。
…ん? 真ん中の屋根も……。
ずっと五輪塔の火輪だと思い込んでいたのですが、よく見ると天端の幅が異常に広いですね。
「ん〜、これも見落としですかね?」
改めて私の予測では、これは軸部別石の層塔の屋根ではないかと思います。
讃岐の石造物には、私が知る限りで一例だけ、軸部別石の層塔が存在していますので、仮にそのようなものがあるとしても不思議ではありません。(私なりに理解した石造美術について書かせていただきました。内容に関して気になる点やご意見がございましたら、ぜひお気軽にコメントやお問い合わせいただけますと幸いです。)
一度「こうだ」と思い込んでしまうと、もうそうとしか見えなくなってしまうものですね。反省です。
「誰に反省するの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
もちろん——言わずと知れた、お客様に対してです。

私のお墓づくりのお手本は、中世の石造物です。
そして参考にしているのは、形や意匠だけではありません。
お墓の本質、つまり「どう在るべきか」「何を伝えるべきか」といった部分まで含めて、学ばせてもらっているつもりです。
たとえば、当時の石塔には、誰が見ても自然に手を合わせたくなるような佇まいや、土地に根差したおおらかさがあります。
形は決して華美ではなく、むしろ簡素と言っていいほどですが、そこには何か「芯」のような強さが感じられるのです。
それは、表面を磨き上げたり、見栄えを整えたりすることで生まれるものではなく、素材の風合いや、時を経た痕跡を受け入れてきた形だからこその美しさだと思っています。
私はその感覚を、現代のお墓づくりにも取り入れたいと考えています。
見た目の立派さよりも、そこに込められた想いが伝わること。
時間が経っても風景に馴染み、訪れる人の心がすっと落ち着くような存在であること。
中世の石造物は、そうした「静かな存在感」のお手本のようなものです。
一つひとつのディテールに学びながら、現代の石材加工の技術と掛け合わせて、今の時代に合った形を模索しています。

さて、ついに50回目の記事を書き終えることができました。
やはり、「50」という数字には、どこか区切りのようなものを感じてしまいますね。
これまでお付き合いくださった皆さま、本当にありがとうございます。
内容も、石のことから地域の風景、時にはちょっとしたぼやきまで、いろいろと混ざっておりますが……
どれか一つでも「へぇ~」と思っていただけるものがあったなら、それだけで十分うれしいことです。
さて、51回目以降も、特に変わらず——相変わらずのペースで更新していく予定です。
石のこと、現場のこと、そしてふと思い出したこと——。
それでは今回はこの辺で。
次回もまた、どうでも良い話かもしれませんが、お楽しみに。

一宮寺HP https://www.sanuki-ichinomiyaji.or.jp/

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