たま企画室

修復作業完成 鳥取県東伯郡湯梨浜町 尾﨑家住宅


棟石 鳥取県 尾﨑家住宅

こんにちは、たま企画室です。
今日は、以前のブログ『修復作業』でご紹介した【棟石(むないし)】の修復が無事に完了しましたので、そのことについてお話しさせていただきます。

修復作業は予想以上に難航し、思ったよりも時間がかかってしまいました。ある程度、機械を使いながら時間の短縮を図ろうとしましたが、微妙なラインを作り出すには手加工でしかできず、さらに素材の関係もあって基準がわからず、悩むこともありました。
ここでいう基準とは目安やルールのことで、素材が柔らかいためにボロボロと欠けてしまい、どこを計測しても同じ寸法が出ません。幅や高さはどの寸法が正解なのか、屋根の勾配のラインはどれくらいにすべきか、なかなか決定しづらい状況でした。

また、計測がしづらいもう一つの理由として、制作当時にきっちりとした加工がされていなかったのではないかとも想像しています。現在、風化によっていくらボロボロになっていたとしても、私たちはある程度、仕上がったばかりの頃の姿を想像できます(そのつもりではいます)。しかし、その姿を思い描く限り、きっちりとした加工ではないように見受けられます。そのため、この部分も含めて基準を見定めるのが難しい作業でした。

しかし悩んでも仕方がありませんので、これまでの経験と勘を駆使し、またそもそも屋根の最頂部に置かれた棟石にはどのような意味があるのかなど本質的なことを考えながら作業にあたりました。最終的には納得のいく仕上がりとなり、非常にやりがいのあるお仕事でした。
特に屋だるみ(屋根勾配のライン)は良い感じに仕上がり、ほっとしています。ただし、据え付けられると見えなくなるのが少し残念です。また、エゴといえばエゴですが、見えない部分のホゾやホゾ穴(各部を接合するときに、部材の位置をずれないように固定するための加工)もしっかり作り込みました。合端(あいば)もばっちりです。

まだまだ【尾﨑家住宅】の修復工事は続くそうです。後世に残るお仕事に携われることは、とても名誉なことですね。そして何より、そのようなお仕事は本当に楽しいものです。修復作業を通じて、昔の建築技術や素材の特徴を学び直すたびに、新たな発見があり、職人としての成長を感じる瞬間があります。また、このようにして蘇った建物が次の世代へと受け継がれていくと思うと、大きな責任とともにやりがいを強く感じます。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。質問やご意見がございましたら、お気軽にコメントやお問い合わせをいただければ幸いです。今後とも、たま企画室をどうぞよろしくお願いいたします。

尾﨑家住宅(山陰百貨店-日常を観光する-HP)  https://ameblo.jp/sanin-department-store/entry-12739043735.html

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